ノミネート2009

No.4  川上貴子

”緩和ケアへのみんなの思いを実らせた看護師”

現在の職業:
医療法人健和会みさと健和病院緩和ケア病棟看護師長(現:外科病棟看護師長) 看護師

推薦文:
ナースオブザイヤーとして、私たちの病院の緩和ケア病棟看護師長・川上貴子さんを推薦致します。

川上さんは国立国際医療センター看護学校を卒業後、本法人に就職し、急性期看護はもちろん、在宅看護、外来看護など様々な医療条件の中、看護師としての経験を積んできました。そして、今年5月オープン予定の新病棟の最大の"売り"である、埼玉東部地域初の緩和ケア病棟の看護師長として、皆の信頼と期待を一身に受けています。

緩和ケア病棟の師長として川上さんが選ばれたというよりも、川上さんが作った緩和ケア病棟であると言い切っても、病院の誰もが首を縦に振るでしょう。それほど、彼女は緩和ケア病棟に思い入れを持ち、「いつ死んでもいいわ」と自ら話す程、常に緩和ケア病棟の実現を夢見てきました。

そんな川上師長の熱い想いのベースになったのが、15年前から関わった在宅看護での経験です。それまで病棟で多くの患者さんの死と向き合ってきた彼女でしたが、在宅医療に関わってからは、患者さんのご自宅こそが患者さんの死を看取る場としてふさわしいと感じるようになりました。何故なら、在宅での患者さんやご家族とのふれあいの中では、死について自然な会話の中で語り合うことができたからです。常々、看護師がもっとdeath educationについて意識を持ち、患者さんと死について語り合えたならば、もっと前向きな緩和ケアができるのではと考えていた川上さんにとって、在宅はひとつの答えだったのかもしれません。しかし、日々刻々と変化する患者さんの容態の中で、一旦病院に入院してしまったことが契機で、自宅へ戻ることができずに病院で最期を迎える患者さんも多く、在宅医療を支えるべき地域病院の役割を考えさせられるようになりました。彼女は緩和ケア病棟を「自宅でも病院でも同じケアが受けられるような環境にしたい」と話しています。特別な医療を提供するのではなく、いつでもご自宅へ帰ることができる状態を維持することこそが重要だと考える点は、今まで大病院中心だった緩和ケア病棟とは一線を画す、地域病院での緩和ケア病棟の役割を示していると思います。そして、緩和ケア病棟では当然グリーフケアにも力を入れ、ご遺族からの声を緩和病棟、ひいては一般病棟の看護の在り方までフィードバックしていきたいと、熱い思いを私たちに語ってくれます。

緩和ケア病棟では、花の名前の付いた個室に、患者様一人一人のお好きなアロマの香りが漂い(このために半年間休業して修行に行った程の入れ込み様です!)、ご家族や親しい友人との心地よい時間を過ごせるような空間が、川上さんのコーディネートで実現することでしょう。私たちスタッフも全力で川上さんの夢を一緒に実現していきたい気持ちでいっぱいです。私たちにも元気をくれる川上さんを応援したく、推薦させて頂きました。

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