ノミネート2009

No.11  箕輪雄太

”「あたりまえ」を提供し続けることの意味”

現在の職業:
埼玉医科大学病院神経精神科・心療内科4階病棟 主任 看護師 精神科認定看護師(日本精神科看護技術協会)

推薦文:
 社会が多様化し、精神医療や精神科看護を取り巻く環境が変化する中で、精神科看護に求められるものが少しずつ様変わりしています。とはいえ、いかなる社会においてもいかなる時代においても、精神科看護には普遍的な部分があります。精神科看護における普遍的な部分、つまり精神科看護の本質とも言えるのですが、それは、対象に眼差しを送り、対象に耳を傾け、対象のありのままを受け入れる、というあたりまえのことです。

もう少し詳しく説明すると、精神科看護師の責務は、生きている中で不調や変調を来たし、自身では如何ともし難い事態に陥っている患者さんに寄り添い、理解しようとすること、また、常に、その患者さんの現段階における最善・回復を目指して計画的な援助を提供すること、倫理的観点をもって患者さんのアドボケイターとしての役割を果たすことです。

こうした幅広い責務を十分に自覚しつつも、自然に、さりげなく患者さんを援助すること、すなわち、あたりまえのことをあたりまえに遂行することが、対人関係で支障を抱えやすい精神科患者さんにとって大切なことです。しかし、このことが精神科看護においては結構難しいのです。

箕輪看護師は、(矛盾するようですが)当たり前でありながら当たり前ではない精神科看護を、自然に、さりげなく提供し続けられる心のケアの専門家です。

また、彼は病棟の看護主任としてのリーダーシップと、看護チームの一員としてのメンバーシップを持ち合わせ、メンバー個々人の自律した力が発揮できるように、またそれを組織力として最大限発揮できるよう日々努められています。病棟は働きやすい雰囲気と、対象と真摯に向き合おうとする看護師の熱いスピリットで溢れています。

臨地実習指導者として学生ともかかわって頂いていますが、冷静な判断と、看護への深い情熱、患者さんや学生への真摯な姿勢と、学生が彼から学び得る事は非常に大きいようです。殊に男子の看護学生にとって、彼は重要なロールモデルの役割を果たしています。精神科看護実習に出た男子学生、女子学生が、彼や彼の同僚・後輩看護師から刺激を受けて、精神科看護師を目指すようになります。

結局、箕輪看護師は病む人に対してはもちろんのこと、現場で協働するスタッフ、臨地看護実習に臨む看護学生や看護教員と、沢山の対象に高い専門性を持って精神科看護の本質を提供し続けている看護師といえるでしょう。以上をもって、箕輪雄太看護師を推薦させて頂きます。

投票する