第2回ノミネート 2010

No.1  秋山美都里

”患者さんと医療・医療者をつなぐプロフェッショナル”

現在の職業:
医療法人財団河北総合病院 健康生活支援室 看護師

推薦文:
「患者中心の医療」「患者中心の看護」という言葉をよく耳にします。でも、それぞれの頭で描く「患者中心」とは共通でしょうか?患者中心といいながら、実は医療者が真ん中にどっかりと胡坐をかいていることが多いような気がするのです。

河北病院では、患者さん用の図書室を医療者が協働して患者さんの健康を支援する「健康生活支援室」として機能を拡大し看護師と司書を常駐させています。この協働の場は必ずしも固定した強いリーダーの存在は必要とはせず、むしろ患者さんと医療者を緩やかにつなぎ、患者さんの病気と健康をつなぐ医療・看護の知識をもつ「ひと」を必要とします。その人として看護師の秋山美都里さんは活躍しています。

健康生活支援室は、患者さんを主体とした支援の場です。秋山さんは看護師としてのアイデンティをしっかり持ち、患者さんの立ち位置で物事を考え行動のできる人です。患者さんが望む支援に向けて医師・MSW・栄養士などの医療職あるいは地域へとつないでいます。

数日前のこと、患者さんとの対話の中で、医師の治療方針と患者さんの思いのずれに気づき、「患者さんの主体性を大事にした選択はできないものか」と医師に迫る姿勢は迫力と看護師としての情熱が伝わってきました。相手を尊重し関係を保ちながら核心を突くもの言いは見事でした。

また在宅医療へ移行に向けた、入院患者とMSW(医療ソーシャルワーカー)の面接に同席したおり、患者が納得していないことに気づき「病気のことをもっと知りたいのではないですか」と声をかけたことからもう一度、医師の病状説明へ戻したケースがありました。一見時間がかかるような気がしますが、患者さんが納得した選択は、その後のスムーズな地域連携につながります。もちろん医師を始めとする他職種との意見交換はエネルギーを要しますが重要なことです。各専門職がそれぞれの役割から患者支援を考え討議することにより「協働」が生まれるのではないでしょうか。

最近秋山看護師は「協働」の意味がようやくわかってきたと語ります。秋山看護師の患者を主体にした考え方は「ぶれ」ることがありません。勇気を持って他職種と向き合う姿勢には、プロとしての看護師を感じさせます。

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